「知の仕事術」 池澤夏樹 著 インターナショナル新書
- 2017.03.04 Saturday
- 00:04
JUGEMテーマ:活字中毒〜読書記録〜
今年の1月に新しい新書シリーズが創刊された(新しい新書って重ね言葉みたいだが間違った使い方ではない、はず)。
集英社インターナショナルが発行元のインターナショナル新書である。
集英社新書がすでにある以上、区別するにはこの叢書名しかなかったか。
でもやはり私には違和感がある。
そのうち慣れるだろうか。
それはどんなラインナップかにもよるものと思われる。
多くの新書には通しナンバーが付されている。
この新書の顔になると思われる001を与えられたのが、池澤夏樹による「知の仕事術」だ。
著者の池澤夏樹は芥川賞作家。
最近では個人で「世界文学全集」「日本文学全集」を編集した。
この二つの全集の編集はそう簡単な作業ではなかったはず。
この本を読むとおぼろげながら編集の過程が推測できるような気がする。
まず著者は生きるために
1.情報
2.知識
3.思想
が必要だと説く。
これらをいかに獲得し、更新していくか。
そのノウハウを公開したものがこの本の内容である。
全部で12の章からなる。
順にあげると
1.新聞の活用
2.本の探しかた
3.書店の使いかた
4.本の読みかた
5.モノとしての本の扱いかた
6.本の手放しかた
7.時間管理法
8.取材の現場で
9.非社交的人間のコミュニケーション
10.アイディアの整理と書く技術
11.語学習得法
12.デジタル時代のツールとガジェット
となる。
2から5まで本・書店に多くのページが割かれている。
面白いと思ったのは「本の手放しかた」に一章をもうけているところ。
古書店を活用することで『ストック』と『フロー』という概念を、読書・蔵書に持ち込んでいる。
ただ私には、面白いけれどもあまり参考にならないと思っている。
参考にしようと思ったのは10アイディアの整理と書く技術。
この本を読んで、意図的にブログへのアプローチを変えてみたがどうだろうか。
8章の文中で、梅棹忠夫の「知的生産の技術」について言及している。
私はここでやっとこの本は、現代風にアレンジされた池澤夏樹版「知的生産の技術」だと認識した。
ちょっと気づくのが遅いと思わざるを得ない。
まだまだ情報を集め、知識を習得し、思想を確立せねばと思う。