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    「忍者と剣客」 集英社

    • 2017.02.16 Thursday
    • 00:10

    JUGEMテーマ:活字中毒〜読書記録〜

    集英社 創業90周年 記念企画 「冒険の森へ」傑作小説大全 全20巻 第19回配本の1冊。

    第1回配本が2点だったので、これが最終配本となる。

    ほぼ20か月、毎月1点ずつこの分厚い本を読んできた。

    今となっては名残惜しさも若干ある。

     

    構成はショートストーリーが4編、短編も4編、長編が2点。

    作品名と著者名を列記する。

     ショートストーリー

      「かけひき」小泉八雲

      「決闘」逢坂剛

      「猿取佐助」清水義範

      「草之丞の話」江國香織

     短編

      「異聞浪人記」滝口康彦

      「隼人の太刀風」津本陽

      「讐」綱淵謙錠

      「柳生連也斎」五味康祐

     長編

      「甲賀忍法帖」山田風太郎

      「赤い影法師」柴田錬三郎

    短編や長編の著者名にはなるほど納得といった名前が並ぶが、ショートストーリーには「忍者」や「剣客」とは遠いところで活躍されている作家の名前が並ぶ。

    この辺りの選択にはニヤリとしてしまう。

     

    ここまで作品の名前を挙げたわけだが、誤解を承知で書いてしまえば、私がこの本の中で一番面白く読んだのは夢枕獏による解説だった。

    「全ては『甲賀忍法帖』から始まった」と題されている。

    以前『甲賀忍法帖』を紹介した文章を読んだときに、これって『伊賀の影丸』に似ているなと私は思った。

    しかし発表年を考えれば、『伊賀の影丸』が『甲賀忍法帖』に似ている、さらに言えばいただいているのが正しいとわかる。

    夢枕獏も同じようなことを思ったわけだが、そこからさらに『甲賀忍法帖』のスタイルがその後の人気漫画に取り入れられていると説明している。

    顕著な例として車田正美の『リングにかけろ』の軍団対決をあげている。

    ここで成功を収めた「少年ジャンプ」はこの方法論を下敷きにした漫画を多く並べ黄金時代を築くことになる。

    集英社の社屋の何割かはこれらの漫画の売り上げでできているといわれているそうだが、その集英社の創業90周年記念企画に『甲賀忍法帖』が収録されるのも、ある意味必然だったのかもしれない。

    さらに影響は漫画にとどまらない。

    1984年に新日本プロレスが開催した”正規軍対維新軍“の5対5マッチも、元をたどれば『甲賀忍法帖』に行きつくと夢枕獏は見ている。

    そこまでは思い至らなかった。

    『甲賀忍法帖』恐るべし。

    なお、最初の場面が駿府城内、最後の場面が安倍川の河原というのも私にはうれしかった。

     

    長編では「甲賀忍法帖」ばかりを取り上げてしまった。

    一方の「赤い影法師」も負けず劣らず手に汗握りっぱなしの作品だった。

    こちらは講談の”寛永御前試合“を題材にしたもの。

    10組の達人武芸者同士の対決が読めるだけでなく、服部半蔵・柳生宗矩・真田幸村・赤猿(猿飛)佐助などなど、キャストも豪華。

    さらに水面下に流れるテーマが表面に浮上するとき、物語は別の一面を見せることになる。

    主人公の”母影“”若影“の名前に、あるいは『仮面の忍者赤影」はここから取ったのかと思ったり。

     

    最後に夢枕獏の解説の終わりの一行を引用する。

    「『甲賀忍法帖』、『赤い影法師』、いまだ傑作なり。」

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