『「来ちゃった」』 酒井順子 ほしよりこ 著 小学館文庫
- 2017.02.07 Tuesday
- 23:02
JUGEMテーマ:活字中毒〜読書記録〜
「負け犬の遠吠え」の酒井順子と「きょうの猫村さん」のほしよりこがタッグを組んだ。
ガイドブックには載らないような旅の記録が、国内三十五、海外が三。
ぎっしりと、かつふわふわと詰まっている。
また酒井順子はゆる鉄の人としても知られている。
鉄道ファンの私にしてみれば、この人の旅本に外れはないだろうという安心感があった。
題名だが鍵括弧が重なっているのは間違いではない。
題名自体が鍵括弧でくくられているのだ。
またこの「来ちゃった」を見て、ひょうきん族のさんまと紳助のやりとりを連想した人は私と同世代かと思う。
著者の一人酒井順子も同世代、題名を決める際、意識の下のほうに二人のやり取りがあったのではないかと妄想するがどうだろう。
全部で三十八の旅の記録ではあるが、最初のものが一番印象に残っている。
『旭川〜稚内 北海道 宗谷本線、音威子府そば、豊富温泉』の章だ。
「音威子府」を「おといねっぷ」と読める人はどのくらいいるだろう。
勝手な推測では、地元の人と、ある程度年配の鉄道ファンくらいではないかと思うのだが。
長い間、宗谷本線と天北線の乗換駅であったので、私も読み方を知っていた。
乗換駅だったのでそこそこの町だと思っていたら、実は人口は1000人にも達せず、北海道一小さい村だということをこの本で初めて知る。
えっと思い、いきなりそこからこの本の魅力に引きずり込まれることになった。
時に哲学的に物事を考えたり、時に象に猫村さんの絵を描いたり。
私はほろりと来たり、苦笑したり、いい顔面の運動にもなった。
全編を通して大変面白く読ませていただきました。
ただ一点だけ不満点が。
ほしよりこによるイラスト中にも説明の文字があるのだが、この文字が小さく、老眼の進んだ私の目には読み取れない文字が多かったのだ。
不満点というより私の問題なんですけどね。