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  • 2020.02.24 Monday

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    『タテ社会』誕生から53年

    • 2020.02.22 Saturday
    • 20:13

    JUGEMテーマ:活字中毒〜読書記録〜

    『タテ社会と現代日本』 中根千枝 著 現代新書編集部 構成 講談社現代新書 読了

     

    久しぶりに読書記録を書くことにする。

    昨年も、ブログにアップしなかったけれども本は読んでいた。

    やっと観戦記以外を書く余裕が生まれたので、今年になって読み終えたものから書いていく。

     

    今年の一発目は、1967年発行のロング&ベストセラー『タテ社会の人間関係』の著者が、改めて現代日本に付いて読み解いた本だ。

     

    まず『タテ社会と人間関係』から触れる。

    確か私はこの本を高校時代に読んだような記憶があるが、もしかしたら大学生のころかもしれない。

    内容は、漠然と年功序列や終身雇用と結びつけて頭の片隅にあるかも、まあ今はその程度の記憶でしかない。

     

    この本の続編が出ることを知った。

    刊行から50年以上経っているのに。

    なぜ今なのかという疑問もあったが、本に関しては付き合いの良い私は迷いなく読むことにした。

     

    章立ては以下のとおり。

     

    プロローグ 日本の先輩・後輩関係

    第一章 タテの関係とは?

    第二章 タテ社会と「いま」

    第三章 「タテ」の発見

    第四章 これからのタテ社会

    エピローグ 場は一つとは限らない

    〔付録〕日本的社会構造の発見

     

    本の内容とは直接関係ないところから。

    まず、著者の欄が中根千枝だけでなく、構成=現代新書編集部という表記もある。

    これはどういったことかと思ったのだが、ページを開いてみて、だいたい想像できた。

    本文ページが、悪い言い方をすればスカスカ。

    1ページ14行で1行が37文字。

    対比の意味で〔付録〕ページも書くと、1ページ17行で1行44文字。

    さらに本文は約130ページで、付録が約60ページ。

    どういった想像をしたかというと、本来はロング&ベストセラーの50年後の続編を1冊書いてもらう、それが無理なら語ってもらってそれをまとめようとしたのだろう。

    だが、とても1冊にまとめられるほどの量に達しなかった。

    そこで本文のページ数は1ページ当たりの文字数を減らすことで稼いで、さらに付録を入れてなんとか新書1冊にこぎつけた、こんなところではないかと。

    まあ『タテ社会の人間関係』刊行時の年齢を考えれば、現在はかなりの高年齢、本を出すだけでも大仕事なのだろうし、続編が読めるだけでありがたいと捉えたほうがいいのかもしれない。

     

    またこの本を読んで一番驚いたのは、『タテ社会の人間関係』の中では、著者は「タテ社会」という用語を使っていないと書かれていたことだった。

    本の題名は、編集担当者が提案し、著者が了承したという流れで決まったという。

    「タテ社会」というキーワードは編集者が考えたのか。

     

    この本の内容を一言でいうなら、『タテ社会』刊行から50年、今再考す、といったところか。

    女性の学者が少なかった時代の苦労話もあり、長い年月が経っているのにまだまだ「タテ社会」の悪いところの多くが今でも残ってしまっているという感想も持った。

     

    私はベストセラーには内容の乏しいものもあるが、ロングセラーは基本的には良書ばかりというように考える。

    50年とは言わないまでも、興味のあるジャンルではロングセラーが見つけられるよう、アンテナを張っておきたいと思う。

    神童たちがしのぎを削る所

    • 2019.08.29 Thursday
    • 23:03

    「奨励会 〜将棋棋士への細い道〜」 橋本長道 著 マイナビ新書 読了

     

    藤井聡太がもたらした将棋ブームはすさまじいものであった。

    「あった」と過去形にしてしまうのは少々早いかもしれないが、ひところよりは落ち着いてきているとは感じる。

    ただ藤井七段がタイトル戦に登場するようになれば、また同じような熱狂がやってくることだろう。

    将棋好きの一人としては、早くタイトル戦に登場してほしいと思っている。

     

    その藤井フィーバーは、プロ棋士の養成機関である奨励会(正式には新進棋士奨励会)を経て、史上最年少四段になったところから始まった。

    ではプロになる前に所属していた奨励会って何?と思う人が一般的には多いのではないと思う。

    その養成機関について、奨励会に在籍しながらも挫折し退会した著者が個人の体験を振り返りながらまとめたのがこの本である。

     

    まず奨励会とはなにかを、日本将棋連盟のサイトから引用する。

    『三段から6級までで構成されており、二段までは東西にわかれて行い、規定の成績を上げると昇段・昇級となります。三段になると東西をあわせてのリーグ戦を半年単位で行い、上位二名が四段に昇格し、正式にプロ棋士となります。』

    ここからわかることは、(例外も一部あるが原則的には)プロ棋士には1年に4人しかなれないということ。

    またサイトをもう少し細かく見てみると「奨励会規定」のページがあり、そこにはこのようなことも書かれているので、やはり引用する。

    『満21歳の誕生日までに初段、満26歳の誕生日を含むリーグ戦終了までに四段になれなかった場合は退会となる。』

    厳しい年齢制限があるということだ。

     

    では今度は著者について少し掘り下げてみる。

    中学三年のときに6級を受験し合格、1級まで昇格するも退会。

    その後大学に入り、サラリーマンを経て「サラの柔らかな香車」で新人賞を受賞し小説家デビュー。

    小説はもう一作しか発表せず、現在はネットを中心に記事を書いている。

    「サラの柔らかな香車」はなんとなくだが、こんな小説あったなあという記憶がある。

    プロ棋士になる夢をあきらめたが、奨励会在籍の経験が今につながっているといってもいいのではないだろうか。

     

    ここで目次を。

     第一章 棋士のコストパフォーマンス

     第二章 奨励会I −奨励会という場所

     第三章 奨励会II ー奨励会サバイバルマニュアル

     第四章 プロ棋士になるための練習法

     第五章 研修会・女流棋士・才能論その他

     

    全体的に、プロ棋士になるのは得か損か考えてから奨励会を受けてみて、奨励会に入ったからにはプロ棋士を目指して頑張ってね、という流れになっている。

     

    直接奨励会には関係ないが、第一章はなかなか考えされられる。

    棋士の獲得賞金・対局料上位10名の名前とその獲得金額が掲載されているのだが、上位でこの金額は少なすぎると思うのだ。

    2017年度の棋士の稼ぎ頭は渡辺明三冠(現在)で、7534万円となっている。

    プロの業界であれば、トップクラスは億は稼いでほしいと思う。

     

    第二章からは奨励会に入ったあと、いかに将棋の実力を伸ばすかが、これが焦点となる。

    もともと地元では神童・天才と謳われた少年少女ばかりである。

    その中で一頭地を抜くのはたやすいことではない。

    だが、それを成し遂げなければプロにはなれない。

    昇級・昇段できないと、さらに年齢制限との戦いも加わることになる。

    そのプレッシャーは、体験したものでなければ分からないものだろう。

    だからこの本は、読む価値がある。

     

    奨励会を勝って抜け出すこと、それは細い道であると同時に、精神的なものも含めて長い道だろうと想像する。

    年に4人だけの勝ち抜きに成功したものも、そうでないものも、厳しい奨励会での日々があったから今の自分があるといったような気持ちを持ってくれればいいと思う。

    鉄道史は時代を超えて続く

    • 2019.07.25 Thursday
    • 23:13

    「日本鉄道史 昭和戦後・平成篇」 老川慶喜 著 中公新書 読了

     

    ここ数年、鉄道をテーマにした新書の刊行が増えているように感じる。

    さらに交通新聞社新書のように、全部とは言わないが、鉄道の本ばかり出してる新書まである。

    ただこういった最近多い新書は『趣味としての鉄道』本ということができると思う。

    そんな中、2014年から刊行を開始したこの「日本鉄道史」全3巻は、『学問としてあるいは教養としての鉄道』本ということができるだろう。

    乗るばかりではなく、こういった本を読んだりするのです、私は。

     

    この「日本鉄道史」シリーズは全3巻と上に書いた。

    2014年に「幕末・明治篇」が、2016年に「大正・昭和戦前篇」が刊行され、今年2019年に刊行されたこの本で完結となった。

    「幕末・明治篇」が約50年間、「大正・昭和戦前篇」が約40年間、「昭和戦後・平成篇」が約70年間だ。

    「昭和戦後・平成篇」が一番期間が長いこともあり、ページ数が一番多い。

    前の2点がどちらも約230ページなのに対いて、この本は約300ページ。

    そのこともあり、読み終わっての率直な感想は「昭和戦後篇」で1冊、「平成篇」で1冊、全4点のシリーズにしたほうがよかったんじゃないかなあというものだった。

    区切りとしては国鉄解体の前と後でもいいかもしれない。

     

    章立てを記す。

     第1章 敗戦直後の鉄道

     第2章 日本国有鉄道の成立

     第3章 高度経済世長期の鉄道

     第4章 高速鉄道時代の幕開け

     第5章 暮らしのなかの鉄道

     第6章 国鉄の解体

     第7章 JR体制下の鉄道

     

    第1章から第6章で約240ページ、これだけで1冊分に相当する。

    第7章をどこまで膨らまることができるかだが、この本のなかではかなり駆け足で進められたという印象を持った。

    もっと深く掘り下げてほしかったことがいくつかある。

     

    内容の話をすると、強く印象に残っているのが第4章だ。

    1960年代、『鉄道の時代は終わった』という世界の潮流の中で日本は東海道新幹線を計画さらに運行を開始する。

    この高速鉄道の成功を受け、西欧諸国では再び研究することになりやがて『ゆっくりとではあるが世界に広まっていく』。

    さらに言えば、東海道新幹線を走らせる前に在来線でいくつも試していることがあったことを知った。

    こういった試みをし、問題解決を進めていった結果が東海道新幹線の成功につながった。

    国鉄は親方日の丸だからといった揶揄もよく聞いたが、成功に導いた「匠の人たち」がいたことも忘れてはならないだろう。

     

    個人的に感激した個所は、宮脇さんの新たにスタートするJR各社に向けて期待と注文を書いた朝日新聞の記事の引用。

    新会社は、いいところは引き継いで、官僚主義からは脱却してスタートしてほしいといった趣旨だ。

    感激の意味するところは、この本の中に宮脇俊三の名前を見つけたところです、はい。

     

    また駆け足となった第7章ではリニア中央新幹線に対する疑念が示されている。

    事実を書き連ねてきた中で、この箇所は著者の意見が表に出てくる珍しい箇所だ。

    やはりリニアは電力を食うし、経済学的にあまり推奨できない乗り物なのかなと思う。

     

    最後に著者について少し触れる。

    著者は、近代日本経済史が専門の経済学博士。

    近代の日本経済を語るには鉄道を抜きにしては語れないということではないかと思っている。

    現在は跡見学園女子大学観光コミュニティ学部教授。

    女子大学でどんな講義を行っているのか、どうもイメージがわかない。

    まさか講義を聞きに来るのは鉄子ばかりということはないだろうな。

    変な妄想をしてしまった。

    「頭がいいね」ではなくて

    • 2019.05.26 Sunday
    • 22:55

    『世界を変えるSTEAM人材 シリコンバレー「デザイン思考」の核心』 ヤング吉原麻里子 木島里江 著 朝日新書 読了

     

    『STEM』という言葉を最初に知ったのは、多分成毛眞氏の本を手に取ったときだったと思う。

     S 科学(Science)

     T 技術(Technology)

     E 工学(Engineering)

     M 数学(Mathematics)

    この4つの単語の頭文字から取った造語だ。

    この言葉は2000年代前半からアメリカで使われるようになり、2000年代半ばからこの領域の教育に力を入れるようになった。

    そして『STEM』からさらに発展して、オバマ大統領のときに『STEAM』への流れが生まれたようだ。

    新たに加わったAはArtsの頭文字だが、単純に芸術の意味だけではなく「教養」あるいは「人文学」の意味も含まれている。

    リベラル・アーツのアーツですね。

     

    著者の二人は、ともにスタンフォード大学で博士号を取得している。

    スタンフォード大学といえば、シリコンバレーの中心に位置し、IT関係の多くの起業家を輩出している大学だ。

    そういった土壌の中で教育について研究を進めている。

     

    この本の章立ては以下のとおり。

    第1章 21世紀型人材「STEAM」

    第2章 新しいヒューマニズムー人間性を大切にするという思想

    第3章 イノベーションを起こすマインドセット

    第4章 デザイン思考の本質

    第5章 シリコンバレーの教育最新レポート

    第6章 私たちがシリコンバレーから学べること

     

    一番心に響いたのは第3章の中の『誰でもイノベーターになれる』の項だ。

    アメリカの心理学者キャロル・ドゥエックは、「頭がいいね」といわれてきた子供と「すごく頑張ったね」といわれてきた子供とではその後の成長に大きな違いが生じるという研究成果を発表した。

    前者は、能力は生まれつき決まっているという「固定型マインドセット」を持つようになり、後者は能力は努力次第で伸ばせると考える「成長型マインドセット」を発達させるという。

    「固定型マインドセット」を持つ人間は、諦めやすくなったり、挑戦することに憶病になる。

    これは身に染みてよくわかる。

    臆面もなく書いてしまえば、私も小さいころ親戚から「よく知ってるね、頭がいいね」と言われたことがあった。

    だが、十で神童の類で、二十歳過ぎたらただの凡人になってしまった。

    それは諦めが早かったり、新しいことに挑戦することにしり込みする気質によるものだと、今となって自己分析している。

    この章を読んで、今更ながらだが、過程を大事に五十の手習いのつもりで物事に臨もうと思っている。

    え、五十は間違いで六十が正しい?

    いいんです、ミスしても。

    失敗体験が人を成長させるんです。

     

    実は本当に偶然なのだが、このブログを書いている今日、たまたま入った書店でこのキャロル・ドゥエックの著書を見つけた。

    これも神の思し召しかと思い、レジに持って行ってしまった。

     

    また『STEM』から『STEAM』へ、Aが加わったことの意味を再度考えたい。

    私なりに解釈すれば、『STEM』も相乗効果があるが、異質なAが入ることで相乗効果が何倍にもなるのではないか。

    さらに人間重視、人間をを幸せにするという方向に進めるものでもあると思う。

     

    将来的にAIに仕事を奪われる職種は?といった雑誌の特集記事を見かけることがある。

    『STEAM』を意識することで、AIにできないことを見つけられるようになるのではないかと思う。

    その中でも、やはり私はAを鍛える必要があると自覚している。

    後から、身につけておけばよかったと後悔しないようにしたい。

    後悔したらアートの祭りである、ってカールスモーキー石井か。

    羽生との対談が読みたくて

    • 2019.04.30 Tuesday
    • 22:49

    JUGEMテーマ:活字中毒〜読書記録〜

    「AIに心は宿るのか」 松原仁 著 インターナショナル新書 読了

     

    ほぼ毎月1冊ずつ、将棋に関わりのある新書を読み続けている。

    今では毎月発行する新書のリストがネットで見ることができるので、その中から題名や著者名であたりをつけ、店頭に並んだら確認して購入に至るというな流れができている。

    だがこの本はノーマークだった。

    何故見つけることができたかといえば、同じインターナショナル新書の「英語のこころ」を読み始めたとき、本に挟み込まれたチラシのこの本の紹介文を読んだからだ。

    チラシには『羽生善治との対談を収録』と謳っていたので、これは読んだほうがいいかとまず店頭で実物を手に取り、その対談が特に興味深そうだったのでレジまで持っていった。

     

    著者は人工知能、ゲーム情報学を専門分野とする工学博士。

    プロフィールの著書には「将棋とコンピュータ」といった将棋とかかわりのあるものもある。

    なるほどと思っていたら、この本を78ページまで読み進めて、「先を読む頭脳」 羽生善治 松原仁 伊藤毅志 著 新潮文庫 と出てきた。

    この本は読んだ覚えがある。

    以前にも読んだことのある著者だったんだと、ここでやっとわかった。

    あらあら。

     

    目次は以下のとおり。

      プロローグ 溶け合う、人間とAIの境界線

     第一章 ”AI作家”は、生まれるのか

     第二章 「知の敗北」が意味することー棋界に見る、シンギュラリティの縮図ー

     第三章 対談 AIは「創造的な一手」を指せるのか

     第四章 AIに創造は可能か

     第五章 「ポスト・ヒューマン」への、四つの提言

     

    第二章に『シンギュラリティ』という言葉が出てくる。

    日本語では『技術的特異点』というようだ。

    「人間が生み出したテクノロジーが、急速に進化し、後戻りできないほどに人間の生活を変容させてしまう」そういった未来の到来(の時点)を指す。

    この言葉をインプットしただけでも読んだ意味があったといえるかもしれない。

     

    第三章を、大げさにいえばこの章を読むために本を買ったわけで、期待して読んだ。

    私は読む前に期待を大きく持ちすぎる傾向があり、あれっ?と思うときも多いのだが、この本は期待を裏切られることはなかった。

    やはり羽生の絡む対談は面白い。

    漠然としたテーマはあるものの、特に絞り込まれたテーマはなかった。

    そんな中でも適切なかつ刺激的な言葉を繰り出す羽生にやはり感嘆させられる。

    そんな対談の結論のようなものとして「人間の知性は、今後、個々人の判断力や応用力にフォーカスして評価される時代になる」とあると、ただ知識を得るのでなく、それを意外なものと結びつけるなどの訓練をしてみようかと思うようになった。

    まあブログを再開したのも、この流れと関係しております、はい。

     

    この分野の情報は日々更新されていく。

    会社では昭和の香りを残す男といわれる私だが、常にアップデイトを心がけ新時代にしがみついていきたい。

    『日本人の英語』から30年

    • 2019.02.21 Thursday
    • 22:32

    「英語のこころ」 マーク・ピーターセン著 インターナショナル新書 読了。

     

    マーク・ピーターセンといえば、『日本人の英語』(岩波新書)だ。

    調べると1988年の刊行だった。

    とすると多分学生時代に読んだはず。

    さらに『続 日本人の英語』は1990年、前の会社のときはあまり本を読めなかったので、今の会社に入ったころに読んだと思う。

    もう30年も前かと思うと感慨深い。

    できのいい読者ではないが、ともかく続編が出るくらいによく売れた新書だったのだけはよく覚えている。

     

    その著者がまた日本人に向けて英語の本を出した。

    もともとは集英社の季刊雑誌『kotoba』に連載されていたもので、大幅に加筆・修正しているとのこと。

    どういった内容かを概観できるよう、目次から各章を抜き出してみる。

     1  diversityが表す多様な世界

     2  「原子力問題」を考察する

     3  性と愛をめぐる英語表現

     4  英語に見る「老人力」への意識

     5  英語に訳せない小津映画の巧妙なセリフ

     6  「第3の場所」の役割を果たす本屋の力

     7  「資本主義の走狗」の英訳の不可思議さ

     8  『こころ』の文体に見られる英語の影響

     9  英語の語彙に定着したtsunami

     10 日本人の人間味あふれる擬態語世界

     11 英語と日本人の世代間ギャップを考える

     12 『細雪』と The Makioka Sisters

     13 死を表すおすすめの婉曲表現

    連載期間中に東日本大震災があったことが内容にも影響していると見ることができる。

     

    実はこの本の中で一番共感しているのは「はじめに」に書かれていることで、その部分を抜き出してみる。

    「現在の日本のように国民全員に一つの外国語を覚えさせることは無理がある」

    英語教師をしているアメリカ人がこのようなことを書くというのは、本当に心配していることの表れのように思えてならない。

    国際化だ、それなら英語教育だ、と短絡的に結び付けているように私には思える。

     

    本文の中ではやはり6の章が一番印象に残っている。

    著者は長らく明治大学の駿河台校舎で教えていて、毎日のように神田神保町界隈を歩いていたという。

    私も会社が今のところに引っ越す前は、水道橋か神保町が会社の最寄り駅で、神保町のどこかの書店で著者とすれ違ったことがあったかも知れない。

    妄想に過ぎないという気もしますが。

    さらに著者は現在金沢にある大学で英語を教えているが、今でも神保町を訪れることがあり、「店に入ると、幸せな気分になる」とまで書いている。

     

    全体的な感想としては、ことばの面白さを再確認できる本、構えずに軽い気持ちで読んでみていいと思った。

     

    また先ほどこのブログを書くにあたって、連載されていた雑誌『kotoba』を検索してみた。

    すると3月発売の次号の特集が「日本人と英語」、当然のようにマーク・ピーターセンの名前も表紙に出ている。

    買うかどうかはまた別の話だが、せっかくこの本を読んだのだから、この特集も一度目を通したいと思う。

    (内容とは関係ないが表紙は江口寿史によるイラスト、力が入っているとみていいんだろうなぁ)

     

    蛇足ながらもう一点、ページを開いてよかった点をあげておきたい。

    この本に挟み込まれていたチラシを何気なく見ていた。

    そのチラシに載っている本の中に、これはぜひ読みたいという新書が見つかった。

    正確に書けば、本というよりそこに収録されている対談だが。

    近々その本(対談)を読んだ感想もこのブログでお披露目したいと思っている。

    「知の仕事術」 池澤夏樹 著 インターナショナル新書

    • 2017.03.04 Saturday
    • 00:04

    JUGEMテーマ:活字中毒〜読書記録〜

    今年の1月に新しい新書シリーズが創刊された(新しい新書って重ね言葉みたいだが間違った使い方ではない、はず)。

    集英社インターナショナルが発行元のインターナショナル新書である。

    集英社新書がすでにある以上、区別するにはこの叢書名しかなかったか。

    でもやはり私には違和感がある。

    そのうち慣れるだろうか。

    それはどんなラインナップかにもよるものと思われる。

     

    多くの新書には通しナンバーが付されている。

    この新書の顔になると思われる001を与えられたのが、池澤夏樹による「知の仕事術」だ。

     

    著者の池澤夏樹は芥川賞作家。

    最近では個人で「世界文学全集」「日本文学全集」を編集した。

    この二つの全集の編集はそう簡単な作業ではなかったはず。

    この本を読むとおぼろげながら編集の過程が推測できるような気がする。

     

    まず著者は生きるために

    1.情報

    2.知識

    3.思想

    が必要だと説く。

    これらをいかに獲得し、更新していくか。

    そのノウハウを公開したものがこの本の内容である。

     

    全部で12の章からなる。

    順にあげると

    1.新聞の活用

    2.本の探しかた

    3.書店の使いかた

    4.本の読みかた

    5.モノとしての本の扱いかた

    6.本の手放しかた

    7.時間管理法

    8.取材の現場で

    9.非社交的人間のコミュニケーション

    10.アイディアの整理と書く技術

    11.語学習得法

    12.デジタル時代のツールとガジェット

    となる。

    2から5まで本・書店に多くのページが割かれている。

    面白いと思ったのは「本の手放しかた」に一章をもうけているところ。

    古書店を活用することで『ストック』と『フロー』という概念を、読書・蔵書に持ち込んでいる。

    ただ私には、面白いけれどもあまり参考にならないと思っている。

     

    参考にしようと思ったのは10アイディアの整理と書く技術。

    この本を読んで、意図的にブログへのアプローチを変えてみたがどうだろうか。

     

    8章の文中で、梅棹忠夫の「知的生産の技術」について言及している。

    私はここでやっとこの本は、現代風にアレンジされた池澤夏樹版「知的生産の技術」だと認識した。

    ちょっと気づくのが遅いと思わざるを得ない。

    まだまだ情報を集め、知識を習得し、思想を確立せねばと思う。

    「棋士の一分」 橋本崇載 著 角川新書

    • 2017.02.13 Monday
    • 23:40

    JUGEMテーマ:活字中毒〜読書記録〜

    近頃将棋界が何かと騒がしい。

    今日も、スマホ不正疑惑で出場停止処分を科されていた三浦弘行九段の復帰第一戦が、羽生善治永世六冠相手に行われているというテレビニュースを見たばかりだ。

    いいニュース、悪いニュースどちらもあるが、やはりこのスマホ不正疑惑が大きく取り上げられたこともあり、悪いニュースで目立ってしまっている印象が強い。

    そんな将棋界に、内部で早くから警鐘を鳴らしていたのがこの本の著者、橋本崇載八段である。

     

    橋本八段といえば、目立ちたがり屋なのではないかという印象を持っていた。

    いつか金髪パンチパーマで対極に臨んだことがあった。

    また将棋が指せる酒場「SHOGI−BAR」を経営している。

    そのくらいの情報しか持ち合わせていなかった。

    しかしこの本を読んで、まじめすぎるほどに将棋に対して真摯に向き合っているのだなと思った。

    また私が思っていた以上に将棋界が難しい時期にあるのだということも感じた。

     

    糸谷哲郎という棋士がいる。

    将棋界最高峰のタイトルの一つ竜王のタイトルを取ったこともある一流棋士だ。

    その糸谷八段が、新人王戦優勝の表彰式で「今の将棋界は斜陽産業」と発言したという。

    将来を見越してか,プロ棋士と並行して大阪大学、さらに大学院に進学している。

    前途有望なはずの棋士が、いわば保険をかけているように映る。

    また糸谷八段以外にも、最近の棋士は高校だけではなく、大学進学者も増えているなと気にはなっていた。

    それも将棋だけでは食えなくなるかもしれないという危機感を持っている若手が多いという表れなのかもしれない。

     

    将棋界の最大の脅威はコンピュータといっていいだろう。

    パンドラの箱を開けてしまったのは、前の前の連盟会長だった米長邦雄永世棋聖。

    確かに私も、コンピュータ将棋を商売に、金もうけにつなげようとしているなという印象を持っていた。

    私がそう思うのだから、中にいる棋士の懸念はもっと強かったと推測する。

    この本の中で橋本八段は米長会長の活動を「暴走」と批判している。

     

    それでは橋本八段は将棋界をどういう方向にもっていきたいのか。

    まずコンピュータ将棋との関わり方を見直すこと。

    また棋士の数を減らすことも提案している。

     

    とにかく危機感が非常に強くにじみ出た一冊だった。

    この本が刊行される五か月前に「不屈の棋士」という本が講談社現代新書から出ている。

    「棋士の一分」の『おわりに』を読むと、先にこの「不屈の棋士」を読んだほうが流れがよくわかったかもしれないと思った。

    近日中にこの本も読むつもりでいる。

    そして将棋界の現状を掴んでおきたいと思う。

    『「ヒットソング」の作り方 大滝詠一と日本ポップスの開拓者たち』 牧村憲一 著 NHK出版新書

    • 2017.01.24 Tuesday
    • 00:01

    JUGEMテーマ:活字中毒〜読書記録〜

    この本はサブタイトルに魅かれて読む気になった。

    大滝詠一が題名に入っていて読まずにいられようか。

     

    著者は音楽プロデューサーとして著名な方らしい。

    「渋谷系」が好きだった人にとっては、あるいは馴染みのある名前なのかもしれない。

    私には聞いたことない名前だったように思ったが、読み進むうちに私好みの日本の音楽に深く関わってきた人いうのがわかってきた。

    どこかのアルバムのクレジットでもしかしたら見ていたことがあるのかもしれない。

     

    章立ては以下の通り。

     序 章  一九七四年に始まる物語

     第一章  音楽業界に起きていた地殻変動

     第二章  巡り合うポップスの才能たち

     第三章  ライブハウスがミュージシャンを育てた

     第四章  一九八0年代に花開いたもの

     終 章  「渋谷系」の時代へ

     

    本のメインタイトルに「ヒットソング」の作り方とある。

    だが、実は副題のほうが本の正しい内容に近いと思う。

    ただ「ヒットソング」も作っている。

    最大の当たりといってもいい「い・け・な・いルージュマジック」の裏話が紹介されていて、これがやたらと面白い。

    忌野清志郎と坂本龍一の二人のセッティングまでもいろいろあるのだが、もともとの題名の「すてきなルージュマジック」から「いけないルージュマジック」を経て、結局「い・け・な・いルージュマジック」となるまでの著者の奮闘ぶりも読みどころといっていいだろう。

    清志郎と教授がどんどんノってくる感じも伝わってくる。

    そのノリが、このシングルのB面(といっても若い人は分からないかな、恋をするのがA面、うなずくのがB面)「明・る・い・よ」に結びつく。

    友人がこのシングルを持っていて、私もB面を何度も聞かされた。

    アッコちゃん

    金子

    ルイルワ

    吉田

    歌詞で遊んでいる。

     

    また「日本ポップスの開拓者たち」とあるように、70年代に活動を開始し80年代に花開いた多くのミュージシャンの名前が出てくる。

    山下達郎についての印象を『こんなに素敵で生意気な若者には会ったことがない』と記している。

    さらに竹内まりやのデビューを強力に押し進めたのもこの著者だ。

    『REQUEST』や『Impressions』は必然の結果なのかもしれないなぁと思った。

     

    この本については、書きたいこと、紹介したいことがまだまだあるが、きりがないのでこのくらいにしたい。

    最後に、1974年とは大滝詠一のCMソング『サイダー74』が発表された年になる。

    この曲を含むサイダーのCMソング3年分のYou Tubeを貼っておく。

    ぜひ聞いていただきたい。

     

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